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昼となく夜となく ひちわゆか BBN 2004.04.20 ★★★★



昼となく夜となく (ビーボーイノベルズ)
(2004/04/15)
ひちわ ゆか

あらすじ

父を破産させ、家族を破滅に追いやった「宝石を食べる、この世で一番美しい不老不死の化け物」
カズナ。時が経ち、一流企業のトップに成り上がった鷹倉は、復讐のためにカズナを探し始める。
しかし、ついに姿を現したカズナは…意外にもボロボロの格好の貧しい青年だった!カズナを屋敷に
引き取った鷹倉は苛立ちから、むりやり彼を抱くが、隠されたカズナの「真実」を知るたび、次第にカズナに惹かれていき…!?長編書き下ろし。



先日BLドナドナで売り払った代金で購入したBL本の内の一冊。
本当は次はロシアかラテン系へ飛ぶはずが、あんまり面白かったのでこちらの感想あげたくなってしまいました。

以前からこの本は他の方のブログであらすじなんかを読んでいて気になってたんですよ~
ひちわゆか先生とももう随分長いおつきあいですわね。
最初に読んだのは「お願い、ダーリン!」だったと思うんだけど…
妙にハチャメチャなお話で、強烈な印象がありましたです。

ひちわ先生のお話は、本当に独特のコミカルが入るんですねえ。
それがシリアスと絶妙に混ざってくるのが快感で、ついつい買ってしまう。
私が作家買いする先生のお一人です。
この本も期待にたがわず、楽しませていただきました。


「宝石を食べ、永遠を生きる魔女」を長年周囲から金持ちの道楽と嘲笑われならも、毎日「新聞広告」を出して探している大富豪、鷹倉。

もう老齢になった鷹倉が、ダンスパーティの為のダンスの練習がイヤで逃げ出して机の下に隠れていたところで(←こういうコミカルさが
ひちわ節)ダンス教師に見つかって、なぜダンスがイヤなのか説明しながら、若き日の甘く、切ない恋の話を始めるというところから始まる
懐古談から現代へとつながるリンクになっております。

物語の重要な鍵となっている「宝石を食べる魔女の童話」を読んでからそれを探す大富豪なんて聞くと、読者は「そんなのいるわけ無いだろう」と非常に懐疑的になるんですけれどねえ…
「でも、これはBLだから、やっぱりいるんだろうか…」と裏を読みながらも、次第に物語りの中に引き込まれていくという次第。
この辺りの手際は、さすがひちわ先生でございます。

若き日の鷹倉青年の恋物語がね、とても切なくて美しいのですよ。

幼い日の自分から家族を、幸せをすべて奪った「宝石を食べる魔女」への復讐の為に立身出世を果たし、
大金をつぎこんで長年探し続け、そしてようやくその魔性を見つけたけれど、家族の復讐をしようとして結局復讐しきれない。
それどころか返って永遠の時を生きる相手の哀しさを想い、愛し始めてしまうのですが、悲惨な末路をたどった家族を思うと、
そんな自分が許せず葛藤は深まるばかり。
そして明かされた真実を知った時、鷹倉青年は自分の理不尽を後悔し、それがゆえに魔性、カズナの幸せを願って
その手を離してしまうのです。

このあたりがねえ…本当に哀切に満ちていて…泣けるんだな~
どこかコミカルが入っているがゆえに際だつもの悲しさとでもいいましょうか…
雑巾の絞り方を魔性に教えていたり、自分の屋敷で食事を作ってもらえなくてコンビーフの缶詰を
食べるハメになる鷹倉青年は笑えるんですが、頑なな心がほぐれ、それが故に愛憎に翻弄される
青年の心の葛藤は…胸をうつものがありますね…
恨みながらも恋いこがれ…と相反する感情に翻弄されるところがね、人間の脆さ、感情の摩訶不思議を思う存分味わわせてくれます。

「永遠の生命」というのは古今東西、「人類の夢」な筈なのですけれど…
永遠を生きるカズナの孤独を思うと、それは果たして夢なのか、それとも悪夢なのだろうかと
考えさせられます。
死への恐怖と、残される恐怖というものは、どちらがつらいのだろうと考えてしまいますね。
自分を置いて、必ず先にいなくなる。
自分を知っている人は誰もいない。故郷すらそこはもうただの異国。
自分はもうただの異邦人であり、永遠の孤独を代償に永遠の生命を生きるのであれば、
それは永遠の責め苦でもあるのかもしれません…

そして、そんな永遠を生きる人を愛してしまい、愛する人より先に確実に死んでしまうという心の痛みは、
愛ですら癒すことができないのかもしれませんね…

あれから四半世紀たち、自身が老齢に差し掛かった鷹倉(元)青年はいまだ彼を愛し続け、
「宝石を食べる魔女を捜す新聞広告」を出し続ける。
それは彼、カズナへの唯一の愛のメッセージだった訳です…
というように、お話は現代に戻ってくるのですが…

でもねえ…相手の幸せを願ったのなら、ちゃんとそれを説明して相手に確認しないとねえ…
伝わらなかったなら無駄じゃん、鷹倉青年よ。ひとりよがりと詰られても言い返せませんよ?
ここまですれ違い、四半世紀も離ればなれになった原因は、「アンタが一度も正直な気持ちを言えなかったから」という事となると、
これはもうヘタレに近いものがありますわ。
ワタクシ、ヘタレ男には容赦ないんです。

カズナにすれば、自分は鷹倉にとって父親がしたことへの慚愧の念の対象であり、誤解によってカズナをさらに苦しめた事に対する
後悔に苛まれている鷹倉に愛を告白なんてできる訳がなく、ましてや「自分は鷹倉にとって、後悔と失った苦しみを
思い起こさせるだけの存在」となれば、これはもう離れるしかないってなりますよねえ…

その辺りのすれ違いに、読者としましては、胸がぎゅ~~~~っと絞られて、うるうるとなってしまうんですけれど…
え~え~、ホロリとしてしまいましたよ、あまりに双方の哀しい心情に呼応してしまって。
すれ違い万歳でございます。←鬼

ま、さすが長い時を生きているだけあって、外見ジジイになった鷹倉(元)青年よりも、魔性であるカズナの方が根性があって
鷹倉をいぢめてやろうと訪ねてきて、そこで誤解が解けてハッピーエンド…になるんですけれどね。
うん…良かった良かった。こうじゃなきゃねえ…

で…そこに作者の伏線がすべて明らかになってくる訳ですけれど…

ワタクシ、こういう展開というかローテーションが好きなんですよ。
一番最初にすべての答えが読者の前にでていて、そこから話は遡り、結局最後には最初の答えに返っていく。
読みやすい論文のよーな展開ですな。うん。
ナゾナゾの解答解説編を与えられたような、感激があります。

一応ハッピーエンドになってからはずっと最期まで二人でいられて、結局一緒のお棺に入ることができたのですから、
これはもうめでたしめでたしということなんでしょう。


でも、なんかこの「宝石を食べる魔物」のひちわ先生のお話を昔、他で読んだ覚えがあるんですがねえ…
短編で、そちらは同族同士の話だったような…どの本に入ってたのかなあ…今度探してみよ~っと


この本に収録されていた「11月の花嫁」もまた短編ながら非常に読み応えのある、執着愛となっておりました。
これは一粒で二度美味しい本でしたわ~ 
この感想はまた今度。


うん、切なくてちょっともどかしい、どこか耽美で不思議な世界を垣間見たい貴方に
お勧めの作品でございます。


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