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2008.01/19 [Sat]
影の館 novel&scenario 吉原理恵子 角川書店 2006.01.26 ★★★★★

あらすじ
天使たちの頂点に君臨する天使長・ルシファーと熾天使の君主・ミカエル―無二の友情で結ばれていたはずのふたりの関係は、
ミカエルが自分の“影”としてルシファーを力ずくで手中にしたことにより、天界をも揺るがす愛執へと変化していく…。
吉原理恵子自身が手がけたドラマCDシナリオを完全収録し、さらに書き下ろし短編を加えた『影の館』完全版。
影の館
これはもうワタクシのBLの原点、そしてBL大復活の諸悪の根源でもある永久不変の名作と申し上げて過言ではございません。
この初版を書店で見つけた時の衝撃。
今からもう1○年ぐらい前になってしまうんでしょうか…あの頃は若かった…遠い目。
まだBLという分野が本当にちらほらと言った時代だったんですよね…いえ、JUNEと言った方がいいのでしょうか。
端麗な表紙イラストと、あらすじに載っていたカタカナ名前にふらふら吸い寄せられ、思わず手にとったのが運命の出会いというか
運の尽きというか。
それから一ヶ月間、頭の中が天上界一色に染まってしまったほどのインパクトがございました。
当時、話の中に出てくるいろんな天使様の名前がどうにもよくわからなくて必死で調べまくりましたよ、本業そっちのけで。
おかげで天使様の組織図、略歴をそらで言えるぐらいには詳しくなりました。←単なるオタク
これぞまさに、誰がなんと言おうと「不朽の正統派の耽美小説」
時代を超え、空間を超え、いつ読んでもBL萌えの乙女心の奥深く眠っている埋み火を
業火のごとく燃え上がらせてくれる名作でございます!←大時代風に
おだやかな光あふれる天上界、しかしその光の中に潜む闇と狂気。
光しか知らない輝ける存在に恋いこがれ、その清らかさ故に愛し、清らかさ故に憎むというまさに切々とした天上界愛憎劇の
幕開けでございます。
物語の始めから光の中に存在する影が、読者に漠然とした不安を与え、その微かな影が実際に
大きな亀裂を生み、その後の張りつめ過ぎた糸がほんの些細な事でぷつりと断ち切られるまでのあの緊張感。
強過ぎた執着と愛情ゆえに起こる悲劇。
「愛に勝る狂気はない」というこの執着愛が、物語の最初からもう息苦しいほど胸に迫ってまいります。
ミカエルがルシファーを力づくで陵辱し、自分の影「シャヘル」とする場面は、圧巻でございました。
それまでの自分のすべてを奪われ、力づくではぎ取られ、神にすら見捨てられ、矜持も使命も幸福も賛美も、天上界の光さえも、
すべてを無くしたルシファーの絶望。
絶望ゆえに忘却の河に身を沈めても、神の溺愛故に死を選ぶことも許されず、あとはただ、ミカエルの影として抱かれるだけの
生ける屍状態でしか生きていかざるを得ないルシファーの悲嘆。
自分自身では何を選択する事も許されず、ただミカエルに与えられる性の深みに耽溺し、
あまりの悦楽に恐怖する間もなく自身の変貌を直視せざるを得ず、決して逃げることも狂うことも許されない。
そのような最下層の身分に落とされても、「光掲げる者」であるルシファーの本質は決して輝きを失わず、返って闇の中でこそその輝きは増し、それがゆえにミカエルの執着と焦燥は増し、ますますルシファーを己に縛り付けるという究極の悪循環が何ともすさまじいものがありました。
愛って怖い…と最初に読んだ頃は背筋がゾッッとなったのを覚えております。
あの当時、まだ若かったワタクシには、「愛」というものがいたわり、慈しみ、幸せをもたらしてくれるものだったのですよ…
ラブストーリーはハッピーエンドってね。これはコバルト文庫の影響だな…
愛とは幸せの象徴。憩いの場であり、愛し合う=幸福だったんです…
それがどうしてこう救いようのない悲劇に結びつくのか、どうにかして避けられなかったのかと随分頭を悩ませたものです
…ホント、若かったよなああ…
あれからもう1○年過ぎ、一旦泣く泣く手放してしまった本に再び巡り会った時。
わたくしに再び「往年のBL萌え」が炎のごとく燃え上がったのでございますよ。
ああ、あれぞ再びの運命の出会いだったに違いない。
しかしこちらもトウがたち、いろいろ波にもまれてくるとですね、不朽の名作を読んでも感じ方や感情移入がまた違ってくるんですね…
以前はとにかくミカエルが理不尽としか捉えきれずに断罪していたように思うんですよね…
圧倒的にルシファーの不幸に同情し、その心情に肩入れしていたような…
ルシファーが哀れとしか感じていなかったような気がします…
だってねえ、神の御使えとして日々お務めをまっとうすることにのみ生きていた天使が、ただ主人(=陵辱者)の訪れを待つだけの
惨めな存在にむりやりさせられるなんてあんまりじゃないですか。
生きる張り合いも無くしますよ…
しかしまあいろいろ実地で経験を重ね、時とともに世の中で市民権を得た数々のBL本に揉まれ、立派な腐女子になってしまった
(元)乙女は苦悩と矛盾と身勝手と悲劇に萌える立派なオバサンになってしまったのですよねええ…
果たしてミカエルとルシファー、いったいどちらが不幸なのかと、思わず不幸比べをする方向が変わってきて、そしてより心情的に不幸な方に
肩入れしがちになるのが年を重ねた証拠でしょうか。
どれほど愛しても決して愛されず、触れたいのに決して触れられないという苦しみは、確かに永劫の責め苦なんでしょうねえ…
いえね、ミカエルのやったことは強姦、暴力、軟禁、束縛と、もう犯罪要素だらけなんですけれど…
今じゃストーカーという犯罪になってしまいますが…
自分のすべてを賭けて、己のすべての存在そのものを望まれた時。
人はどうするのだろうと思ってしまいます。
それを「愛情」ととるのか、「過ぎた執着」と捉えるかで、まさにその後の二人の運命が分かれてしまうんでしょうね…
ミカエルは必死で手に入れた存在を失う事だけを恐れ、それ故に支配と暴力と執着という名の愛情はさらに増し…
愛された方には死にも勝る苦痛となってしまう愛情という名の狂気。
愛が不幸の連鎖を呼ぶようで…どこにも救いようがないというか…ただそれを受け入れる時間を与えられる事だけが解決策なのかとも
思うのが切ないですね…
まあ結局はルシファーとミカエルにはそんな時間もゆとりもないままに、神の嫉妬ゆえに引き裂かれてしまって
お話は終わってしまうんですが…
最後のミカエルの「必ず取り戻す」という誓いが、ぐぐぐぐっと胸を鷲掴みにしてくれます。
うん、これは続きを読むまでは安眠できませんわ、絶対。
今回吉原先生がご自身で手がけられたCDシナリオと書き下ろしも収録された「完全版」
たとえほんの少しであろうと、ルシファーとミカエルの新しい一場面が増えた、ただそれだけでこの完全版を買う価値はありました。
むろん他のシャヘル達の可愛いうわさ話も可愛かったですわ〜。
そして、CDシナリオを読んじゃったら、それまでどうにもこっぱずかしくて手を出せなかったBLCDを聴いてみたいという気になりますよね〜
それまでは、自分のイメージと違ったら違和感だしな〜、それにラブシーンを聴くだけってのも、どうにも間が抜けてるよーな…
と腰があがらなかったんですよ。
唯一買った「神官は王に愛される」も、お目当てはブックレットの書き下ろし短編で、本品は聴いてなかったんですよ〜←罰あたり
何か…それまではBLCDを聴くって、私にとっては羞恥プレイのよーな感覚だったのですが…
何人かの方のBLCDブログを読みあさり、どうにも我慢できなくなって、がぶっとかぶりついてしまって…底なし沼に嵌りました。
あ〜〜〜この時ほど「食わず嫌い」の自分を後悔したことはありませんよ〜〜〜
まさにその世界観が眼前に展開されて、重々しく荘厳な音楽が、世界観を表現して下さって、何より声優の方々の素晴らしい演技に
心底聞き惚れて寝不足になり…
新たに素晴らしいBLCDの世界に目覚めさせていただきました。
うん、目下の課題は、この本をどうやって墓まで持っていこうかと頭をひねることでございます。
いっそ隠れBLをやめてカムアウトして、周囲に頼んでしまおうかと一瞬考えてしまうぐらいに、真剣に悩んでます。
往年の不朽の名作にどっっっぷり浸りたい方、是非ご一緒に浸りましょう〜!

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な、懐かしい〜
改めてどっぷりと腐っていると自覚いたしました。
いやぁ、摩緒さんの文、なかなか面白いですよ〜。
いや、ほんと。よく書きました!!お疲れっっ☆